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2022年1月12日

1月11日(火)健康福祉委 「日高少年自然の家」廃止条例 否決 13日(木)本会議に上程

議会

1月11日(火)健康福祉委員会が午前10時より開催されました。

 審議の内容は、「堺市立日高少年自然の家条例を廃止する条例」です。

 日本共産党堺議会議員団からは藤本さちこ議員が質疑に立ちました。

 まず、参考人への質疑を行い、その後、「日高少年自然の家」の廃止ついての質疑、委員間討議を経て、討論・採決を行われました。

=1月11日 健康福祉委で質疑する藤本議員=

 昨年12月15日開催された健康福祉委員会で継続審査の申し出のあった「日高少年自然の家」廃止条例の扱いが、改めて12月21日本会議で審議された結果、維新・公明が継続審査に反対し、閉会中の継続審査の扱いとならず会期を延長し、再度委員会で審議されることとなったためです。

 採決の結果、廃止の条例は、維新・公明のみの賛成少数で否決されました。

 この結果は、1月13日(木)10時30分から開催されます本会議に上程されます。

以下は、

 藤本議員が、健康福祉委員会で行った討論の要旨です。

 ただいま議案となりました議案第119号「堺市立日高少年自然の家条例を廃止する条例」について、日本共産党の意見を申し述べます。

 この間、私を含め、我が会派から日高少年自然の家に視察に行き、スタッフのお話も聞かせていただきました。ここで得られる自然体験は、子どもにとって何ものにも代えがたい体験、人生の糧になるものです。

 日高少年自然の家を毎年利用する少年に廃止について聞いてみたところ、「僕たちは遊びに行くところがなくなる。なくさないでほしい」と大変なショックを受けています。

 長年当施設を利用してきたのびのびルームの保護者からは、「突然来年の予約ができないと言われ、とてもショックだった。廃止が決まったことのように聞かされ、意見も言えずになくなるのかと悲しかった。これからも利用したいのに」という声が寄せられています。

 日高少年自然の家の廃止は、堺市で唯一の自然体験の施設を取り上げるものです。廃止のみで代替はなく、青少年の育成に関してあまりに無責任であり、子どもの育成や教育を堺市としてどう考えるのかが問われるものです。

 学校園や利用団体には、昨年口頭や文書で「日高少年の家を令和4年3月31日をもって廃止」する方針であり、「令和4年4月1日以降のご予約をお受けできません」と周知されました。これは昨年12月議会に廃止条例案が上程される前であり、賛否が決定していないのに廃止が決まったかのように周知するのは、議会軽視であります。

 また、愛着を持って利用してきた市民に対し、昨年10月22日から11月18日までの財政危機脱却プラン(案)パブリックコメントを行ったのみで意見を聞いたとはとても言えません。市民に意見を聞かず、議会での議論もなく廃止ありきで進めることは民主主義に必要なプロセスを欠くものです。

 指定管理者である大阪YMCAから、堺市に意見文書が令和3年7月19日付で提出されております。それによれば、堺市からの「委託期間満了前の一方的閉鎖の通知は基本協定書に明らかに反し」、堺市の都合、履行拒絶による債務不履行であることは明白であると厳しく糾弾しておられます。さらに、大阪YMCAとして令和6年度末の指定管理期間満了までを誠実に履行される予定であり、5年間を前提とした手配をされてこられたこと。

 また、堺市の指定管理者として収支改善を見込むことが困難な状況との認識に対し、仮にマイナス収支になったとしても、予算通りの指定管理料で運営を行っており、本指定業務の当初予算計画に影響を及ぼしておらず、閉鎖の理由として承認できないと述べられていること。
堺市が老朽化を期間中の解除の理由にしていることに対し、締結の際にも施設の老朽化は分かっていたことであり、この説明に納得できないこと。などが文書のなかで述べられています。

 最後に、堺市が協議の際に「堺市としては合意がなくても施設を廃止する」と一方的に通知をしたことは市民との信頼関係を著しく傷つける行為であると結ばれています。
このご意見は正に道理に立ったものであり、堺市は真摯に受け止めるべきです。堺市の態度はあまりに不誠実であり、これまで誠実に施設運営を担ってこられた事業者を軽視するものです。

 この5年の間に、施設は外壁工事、体育館耐震化工事など1億数千万円の大規模工事を行っています。堺市としてずっと維持していく予定だった。これだけお金をかけて、なぜ急に廃止をしようとするのか、あまりにも無計画です。

 また廃止後の始末をどうするのかという計画が全くないことは大きな問題です。売却すればいくらになるかもわからない。売れる見通しもない。借地であることも売却の足かせになっていると思います。借地なので借地契約解除しようとすれば、更地にしなくてはならない。そのために建物を除却するためには億単位の莫大な費用負担が発生します。建物がある限り、地代を所有者に払い続けることにもなります。また、施設の事業委託契約は2年残して中途解約になるため、委託事業者に対して賠償金を支払うことになります。その金額も未定です。今回の廃止の提案は、財政的な理由が大きいと思いますが、いま申し上げたことだけでも、収支改善になるのかどうかも分からない。こんなずさんな廃止ありきの計画を提案してくること自体が間違っています。

 そもそも当施設は、臨海コンビナート造成で、税収と引き換えに子どもたちから海を奪った。大気汚染によるぜん息で子どもたちを苦しめた。そこで子どもたちに海の自然体験を取り戻すために作られたものです。ぜん息の子どもたちの転地療養のキャンプにも使われました。

 再び堺市は子どもたちからかろうじて残された海を奪うのか。理不尽というしかありません。子どもの健全育成を全く考慮しないもので絶対に許されないものです。

 当施設の存廃に関しては、子どもの育成にとってどうなのか、という視点で議論すべきであり、財政を判断基準にするものではありません。
政令市で自然体験の宿泊施設を持たないのは堺市だけになります。

 今回の提案は市民軽視、事業者軽視、議会軽視であり、民主主義的プロセスを無視するもので、このような前例をつくることは堺市政の信用を失墜させるものです。指定期間を前倒しして得られる財源と引き換えに堺市が失うものは計り知れないと指摘しておきます。

 よって同条例案には反対であることを申し述べて、日本共産党の意見とします。