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2022年9月15日

9月15日 決算委 2021年度決算認定 藤本議員が反対討論

議会
藤本議員 反対討論

藤本議員 反対討論
=9月15日 決算委

 9月15日 決算審査特別委員会が開催され、2021年度の決算等についての委員会採決が行われました。日本共産党堺市議会議員団を代表して、藤本さちこ議員が採決にあたり、反対討論を行いました。その要旨は、以下の通りです。

2021年度決算 藤本さちこ議員 反対討論 <要旨>

 日本共産党を代表して、2021年度堺市各会計決算について、意見を申し述べます。

 まずはじめに、統一協会(世界平和統一家庭連合)及び関連団体に対する後援名義についてです。大綱質疑及び分科会では「今後は、ピースロードから後援名義使用承認が申請されても承認はしない」とありました。また、総括質疑においては、全庁で統一した対応をするとこころ強い答弁もありました。取り急ぎ、効果的な対応ができる方策を調査し報告してもらうよう強く求めておきます。

 市民の暮らしは、コロナ危機による景気の低迷により、困難な状況が、長期に及んでいます。それに加え、ガソリン、食料品、電気料金をはじめ物価の高騰が、私たちのくらしに深刻な影響を与えています。

 物価高騰の要因は、コロナからの経済回復にともなう世界的な需要増による国際価格の高騰や、日銀の「異次元の金融緩和」政策による円安誘導と輸入価格の上昇、それに加え、ロシアのウクライナ侵略と経済制裁によるエネルギーや小麦価格の上昇、という複合的なものです。

 しかし、ここまで、わたくしたちのくらしが深刻なところに追い込まれている根幹には、この間の新自由主義によって日本経済がもろくて弱くなってしまっていることがあります。医療・福祉・介護などの分野では、90年代後半から続いてきた社会保障費の抑制策や、公衆衛生施策の縮減があります。

 今市民が市政にもとめているのは、市長も2021年度決算の報告の中で述べている通り、「新型コロナウイルス感染症や物価・エネルギー価格の高騰等が懸念される中でも市民の」「命と暮らしを守」ることです。

 そのための課題に真正面から取り組むことが求められます。市民に寄り添い、市民の期待に応え、住民福祉の向上を第一義の任務とする地方自治体の役割を堺市が真に果たすことこそが必要であり、財政の健全化は、それに応える方向でこそ意味を持つものです。

 以降、こうした観点に基づいて、各点にわたり、市政に対する評価、要望等を述べてまいります。

 2021年度決算は、市長も報告している通り、前年度決算と比較して実質収支額や基金残高が大幅に増加し、財政構造の硬直化を示す経常収支比率についても大きく改善し、93.7%となりました。 ただし、その主な要因は、一時的に地方交付税や臨時財政対策債等の歳入が大幅に増加したためであり、後年度に還付や精算が必要なものが多く含まれるものであり、今後も収支の改善に向けた努力は当然必要です。

 同時に「さらに悪化した」というわけでもありません。純増の財政調整基金の積み増し分もあります。

 少なくとも「財政危機宣言」を出して何でも削らなければならない状態ではありませんでした。「心配性にもほどがある」という印象です。さて、その心配性があだになって、堺市への現役世代の誘導に影響していないことを切に願うものです。

 2021年度決算における財政調整基金の基金残高は、還付等のための財源を差し引いたら約80億円あります。財政調整基金は、財源の不均衡を調整するためや不測の事態に備えたものと述べられました。障害者施設等にとっては今がまさに不測の事態です。生活様式が変わり、働き方を変えられる職種もありますが、介護・障害現場における身体介助など利用者へ直接支援を行っている職員は、リモートワークでは対応できない職種であり、なくてはならない支援です。

 今議会には補正予算が計上され、一定のメニューが並んでいますが、特にクラスターが発生した現場の声を聞けば、十分な保障になっていないということです。なくてはならない施設がなくなったら利用者はじめ家族にも社会にも大きなダメージがあります。基金の活用について検討を要望します。

 次に、保育教諭等充実補助費についてです。

 同事業は、市独自の補助ということです。つまり、堺市の子育て支援の本気度が伺える項目の一つです。ところが、施設では次年度の保育士さんを確保した直後での急な予算削減でした。当局は、同補助費の予算削減によって、影響があったことを認識しているようですが、そもそも同補助費は何も職員配置に限ったものではありません。施設によって活用方法は様々です。それにも関わらず、120施設中20施設しかヒアリングをしていませんでした。また、職員数が減少している要因だけに絞ったとしても施設によって事情は様々です。すぐに予算を元に戻すべきです。

 次に、泉北高速鉄道通学費負担軽減事業についてです。中止の理由は、子育て世代の定住・誘導の効果が薄かったから中止するというもので驚きを隠せません。そもそも、これだけの取り組みで現役世代の定住・誘導を達成できるならどんな自治体でも実施しているのではないでしょうか。とりわけ人口減少が激しい泉北ニュータウンへ本気で誘導したいなら、通学定期代を含め負担軽減するべきです。「財政危機宣言」がいかに思考停止状態になってしまい、真逆の方向に行ってしまうものか指摘しておきます。

 人口動態については、子育て支援を本気で取り組んでいる明石市では、減少傾向であった人口が現役世代を中心に定住人口が増加しています。また、相乗効果で出生数も増加し、税収を増やすことに成功しています。一方で、堺市は減少傾向を止めるどころか減少し続けています。堺市も子育て支援に本気で取り組むべきです。

 コロナ感染者は、市内小学校中学校でも、広がりました。

 1学期の感染状況を昨年と比較すると、小学校では、87人から2400人と30倍以上、中学校でも87人から1100人へ約12倍。学級閉鎖等は、昨年は3学級。今年は161学級へ50倍以上に増加しました。2学期になっても感染の広がりは止まりません。さらなるコロナ対策強化が必要です。小中学校での検査を実施すべきです。また、中学校での少人数学級実施と、養護教諭の複数配置の拡大が必要です。11の政令市では、すでに国基準を超えて複数配置を行っています。 保健室での児童生徒への対応と保健指導、校内の衛生管理の強化のため養護教諭の複数配置を求めます。

 次に、中学校給食についてです。全員喫食の中学校給食では2つのセンターからの配送になるとのことです。安心安全の給食を届けるために、配送車の台数を十分に揃えてもらうよう求めておきます。

 また、少人数学級が導入されていない中学校の教室において安全な配膳ができるのかという危惧があります。市教委の認識においても、現在の状況では安全な配膳ができるとは言いきれない状態です。この点においても、今すぐに少人数学級を導入すべきです。他方、少子化に伴う学校の統廃合ではなく、実態に応じた対策を練ってもらうよう強く要望しておきます。

 さらに、栄養教諭の配置人数についてですが、自校調理方式に比べると栄養教諭の配置人数はかなり少ないものです。国に対して要望するだけでなく、堺市独自で配置人数を拡充するよう求めておきます。

 ICTを活用した児童生徒の学力向上および情報活用能力の育成を図るとした学校教育ICT推進事業の決算額は、23億855万6079円と教育センター費の95%。学校指導費41億円余りの55.3%です。にもかかわらず、活用は進んでいません。活用が進まない理由は、児童生徒の日々の学習に、必要がない、学力向上効果もみられないためではないでしょうか。

 堺マイスタディ事業のような、学習サポート事業(1億5491万円余)を廃止し、1人1台のPC端末配布は、学力向上に資するものではなかったということです。また視力障碍など児童生徒の健康被害についても対策が必要です。

 2022年度同事業の当初予算は22億円8千万円余りです。今後も、毎年このように多額の費用がかかり、機器更新時にはさらに拡大します。保護者負担の可能性も否定はされていません。国の仕様が示されていないとのことです。今後について早急に見直し検討を求めます。

 次に、校則についてです。我が会派は、6月議会において合理的説明のつかない校則であるブラック校則について質疑しました。その際、主に髪型について指摘しました。2021年6月22日及び2022年2月14日付で、市教委より各学校に対して合理的説明のつかない校則について指導したとありました。

 ところが、その後の2学期はじめに、またもや「ツーブロック禁止」という不合理な指導があったと生徒と保護者から連絡が来ました。当該生徒によると「ツーブロックあかん言うたよな。坊主しかないな」と教師に言われたそうです。

 市教委の説明では、学校側から保護者及び生徒にも納得してもらった上で対応しているという説明を受けて来ました。しかし、美容師さんからのお話では、この間も数名ツーブロックから坊主にしたことを教えてもらいました。保護者も生徒も全く納得いっていなかったとのことです。

 ルールというのは生徒たち自身が学校での共同生活をいかに豊なものにするのかという、幸福度を向上させる取り組みですが、今の校則はネガティブな響きに支配されていると思います。

 子どもの権利条約の趣旨を十分に踏まえ、大人は子どもをまず信頼し、議論がかみ合わなくなった時に議論しやすくする助言役に徹して、子どもも大人と同等の権利のもとでルールを決めるべきです。

 次に、堺市は「堺市地球温暖化対策実行計画」を2050年カーボンニュートラル実現に向けた内容へ改定され、12月に策定予定とのことです。

 昨年のCOP26の合意は、産業革命前に比べ平均気温上昇を1・5度に抑えるためには今後10年間の取り組みが重要として、早急に大規模な削減を求めています。

 環境審議会の意見は、「環境モデル都市として、先導的に国の目標値を踏まえた前向きな目標設定を検討すること」や「わかりやすい言葉で、専門的な言葉を使わず、市民に響くような資料作りを」などがあり、2030年度の温室効果ガス排出量を2013年度比50%以上削減する目標としています。今後、新築する住宅・建築物等への環境配慮型に変貌することが2050年カーボンニュートラル実現に向け不可欠です。

 行政、市民、事業者が、一体となってCO2削減に向け取り組まれるよう求めておきます。

 今年の夏も記録的な猛暑となり、また、度重なる豪雨が、日本列島で発生し多くの犠牲者をももたらし、国民の生活、社会、経済に多大な被害を与えています。今後、猛暑や豪雨等のリスクが、さらに高まると予測されています。堺市でも集中豪雨が多発し、今年9月2日の豪雨は市内2ヶ所で99㎜、98㎜と、堺市史上最多の降雨量となりました。

 雨水管整備において、浸水地域重点区域24地区の整備は85.8%まで進んでいますが、市内全体で整備済みなのは市街化区域の半分程度に留まっています。

 これまでになかった降雨量の集中豪雨が起こり、浸水被害も起こる中、市民のいのちと生活を守る立場で、浸水対策の見直しを含めた検討を行い、対策を強めていただくよう求めます。

大蓮公園において、キャンプサイトの有料エリアが芝生広場に移設されました。芝生広場は、公園入口にある見通しのよい広場で、子ども連れの親子や、子ども同士がよく遊ぶ場所となっています。この広場の一部が有料区画となり、キャンプサイトの利用は増えましたが、有料区画のため一般の公園利用者は自由に使えないということになりました。公園は誰もが公平に利用できる公共の場ですが、お金を払った人しか使えない、とならないような運営が必要です。

 大蓮公園では、公園運営方針検討委員会を設けて事業者だけではなく、市民団体、学識経験者も参加して運営を決めていますが、そうした同委員会で議論を重ね市民の立場に立った公園管理運営をしていくことを求めます。また、堺市内の他のPark-PFI事業についても、市民が参加する場を設置することを求めます

 次に、加齢性難聴者への「補聴器助成」支援についてです。

 加齢性難聴は、聞こえが悪くなるだけでなく、言葉を聞き分ける能力低下で情報収集が困難になり、社会的孤立、抑うつになるリスクの増加、認知機能の低下などとも関連があります。高齢になっても生活の質を落とさず、心身ともに健やかに過ごすことができ、認知症の予防、健康寿命の延伸、医療費の抑制にもつながるものだとして、加齢性難聴者への補聴器助成制度が、全国の97の自治体に広がっています。補聴器は、平均価格が15万円と高額で高くて買えない。堺市独自の補聴器助成制度を求める声が陳情書等で届いています。堺市は、高齢者の生きがいある生活支援を行うために、加齢性難聴者への補聴器助成制度創設を国に要請するとともに、全国の実施している自治体に学び、市としても実施されるよう求めます。

 次に、子ども・若者ケアラー(ヤングケアラー)についてです。

 ヤングケアラー(家族のケアを担う18歳未満の子ども)は、様々な問題があり、支援が必要であっても表面化しにくく、周囲からも見えにくい状況にあります。だからこそ、学校や関係機関との緊密な連携により早期発見し、子どもの状況を的確につかみ、耳を傾け、心を通わせるきめ細やかな対応が重要です。ケアに充てる時間が長いほど遅刻、早退が増え、学校生活に支障が出ています。子どもたちや家族が、安心して相談や支援が受けられる相談窓口を早急に設け、必要なサービスにつながるようにしてください。

 埼玉県やさいたま市は、「ケアラー支援条例」を創設しています。堺市でも、進んだ自治体に学び、悩んでいる子どもたちをいち早く助けられる環境をつくるよう求めておきます。

 次に。マイナンバーカードについてです。堺市でも普及促進のための事業が行われてきました。マイナンバーは現在、社会保障、税、災害対策の分野で使用され、多くの分野の個人情報をひもづけして活用できるようにしています。「堺スマートシティ戦略」においては、大阪府が整備する都市OS「ORDEN」を活用して、堺市民の共通のID 認証として「SakaI-D」を構築するとしていますが、マイナンバーカードは、大阪府の都市OSでの個人認証に使われます。マイナンバーカードに紐づいた個人の健康状況や、税や年金などの個人情報が、都市OSを通じて民間企業に流通、漏洩することが危惧されます。

 また6月に「SENBOKUスマートシティコンソーシアム」が設立されましたが、パートナー会員・サポート会員あわせて101の会員のうち、実に94が株式会社です。企業が会員となり情報共有できる仕組みが作られる中で、個人情報の取り扱いにはよりいっそう慎重に厳重なシステムを構築していく必要があります。誰にどんなデータがどのような形でどこまで共有されていくのか、市民が明確に把握でき選択できるようにすることを求めます。

 最後に、国民健康保険事業特別会計についてです。大阪府が先走って広域化を導入したばかりに、堺市の一人当たりの保険料は上昇しています。具体的には、広域化前の2017年度における一人当たり保険料86,983円と2022年度を比較すると、10,193円も増額しており、市民の暮らしを守る観点から到底許容できないものです。残りの激変緩和期間が終了すれば、さらに増額します。国の公費負担が望めないままに広域化に賛成したことを厳しく指摘しておきます。

 以上述べたことを勘案すると、2021年度堺市決算認定には同意できないことを申し述べ、日本共産党の意見とします。