滋賀県長浜市、学校給食無料化を視察

立春はすぎたものの、寒い日が続きます。
インフルエンザも大流行しているとか・・・。

先日、滋賀県長浜市に行政視察に行きました。
当日は、滋賀県は大雪でした。
大阪駅で乗り込んだ「新快速」は遅れに遅れてついに「この列車は、野洲駅どまりです・・」の社内アナウンスにぎょっとしました。しかし、野洲駅から別の列車に乗り換えて長浜駅に無事到着できました。
長浜の町は、列車の窓から見た美しい雪景色とは打って変わって、傘をさして寒い雪道を歩くのは大変でした。では、

視察の目的長浜市の学校給食無料化について

学校給食の現状も合わせてご紹介いたします。
「子どもの貧困」は大問題です。日本全国では6人に一人。大阪府は貧困率全国第2位。
22%、5人に1人以上という状況です。「こどもの貧困」は、「相対的貧困」ともいわれ、「絶対的貧困」とは、違った意味をもちます。大阪府でも、堺市でも実態調査が行われました。自治体には、有効で具体的な対策が求められています。

学校給食の無料化は、そうした意味でも非常に有効な対策だと思います。保護者にとっては、月額3825円~3995円の小学校給食費(堺市)がゼロになれば、大助かりです。
実は、全国で55市町村で、給食の無料化が実施されています。(しんぶん赤旗調査)
堺市では、小学校93校特別支援学校3校において自校調理方式により週5日の完全給食(パンまたは米飯・牛乳・おかず)を年間190回実施されています。
また昨年11月から中学校給食も選択制で、実施されています。給食を受けるための登録数は、全生徒の22.4%になっていますが、実際の喫食率は、全生徒中約8%前後となっていると聞きました。

<堺市の給食費>
小学校低学年:3,825円、中学年:3,910円、高学年:3,995円
(年間:42,075円~43,945円)
中学校:20食分6,700円、90食分29,800円(コンビニでの申し込み)
小・中学生をもつ保護者にとっては少なくない負担となっています。
日本国憲法では、義務教育は無償です。給食費の保護者負担は解消する必要があると思います。
2006年に、文科省の学校給食費の納入状況にかかわる調査がありました。
学校ごとに回答が求められました。まず、

A未納の児童生徒はいなかった。
B未納の児童生徒はいた。

どちらかを選択します。「未納の児童生徒はいた」と答えれば未納人数を記入します。
そして、その理由を次の3点から選びます。
(① 規範意識の欠如 ②経済的理由 ③その他)
調査の結果では、未納者がいた学校は全体の43%。未納の総額22億円。
未納の理由は、規範意識の欠如が6割、そして経済的理由は、3割余り(33%)でした。
この結果から全国的に未納者が多数ということをマスコミは大きく取り上げました。
「払えるのに払わない」とバッシングが展開されたのです。しかし、「未納者がいた学校が43%」とは「完納した学校」は57%です。
「沖縄の未納率は6・3%で全国平均の6倍であった。」となれば全国平均は1%以内であり、99%以上は、納入されているという事です。
堺市の未納状況は、全国平均の100分の1ぐらいではなかったかと記憶しています。

日本の劣悪な教育条件を棚に上げて、保護者の規範意識の欠如をあげつらうのは、いかがなものかと私は、一人腹を立てていたことを思い出しました。給食費を払うことに、四苦八苦している保護者や、子ども達を知っているからです。

当時、沖縄の地元紙「琉球新報」の社説は、「沖縄の未納率の悪さの理由に、失業率が全国最悪も挙げられようが、未納の個別実態を調査分析する必要がある」
また、小野田正利大阪大学教授は、未納の原因を規範意識と経済的問題から選ばせるという調査の手法は乱暴すぎると指摘しました。
調査については問題があることをさておいても、給食費が保護者の負担となっていることに違いはありません。
こうした中、給食費の無料化を実施する市町村の取組は、注目すべきものです。

<長浜市市民で支える給食費補助事業>
2016年2学期から、実施されたこの事業で、小学校の給食費保護者負担はゼロとなりました。事業の概要は次のとおりです。
① 予算:H28年度当初予算額1億6,520万円新規事業
② 対象:小学生(6,755人)
③ 対象外:就学援助・特別支援教育就学奨励費等受給者、生活保護で教育扶助受給、
在席小学校において学校給食の提供を受けていない場合、給食費滞納
④ 事業目的
・子育て施策として、子どもたちが感謝の気持ちと市民全体で支え合う共同の仕組みを学び、理解することで、将来の長浜市を担う人材の育成に寄与する。
・学校給食費を全面的に支援することで、子育て世代が抱える経済的負担の軽減につながり、安心して産み、育てることができる環境整備に寄与できる。
⑤ その他:市立小学校以外の場合は、保護者が長浜市へ交付申請を行い、市から保護者に交付される。
担当職員の方から、「これは、福祉施策ではありません。だから所得制限もありません。教育施策です。」というお話に、思わず納得しました。すべての子どもを対象とする施策こそ、子どもの貧困対策として効果的で必要な施策ではないかと思いました。

<学校給食費補助の全国の状況>
①小学校、中学校の給食費保護者負担全学補助 55市町村
一部補助 362市町村
計 417市町村(1741自治体)
(約24%)
小学校のみの実施 滋賀県長浜市、北海道三笠市と1町1村
②開始時期1948年:1町(山口県和木町)
1976年:東京都御蔵島

以上の2自治体以外は、すべて2006年以降。2011年度から大きく広がっています。
群馬県みどり市、鹿児島県宇検村は、今年4月から実施の予定です。
堺市でも今後、実施を検討すべきだと思います。

③ 効果について
1948年からの給食費無料を実施してきた山口県和木町のHPをみました。
「こんなにお得!こんなに暮らしやすい!あなたもきっと住んでみたくなる和木町・・」
和木町では、全国的にも珍しい学校給食の無料化や、中学校3年生までの医療費助成など独自の施策をとっています。
(魅力その1)通勤・通学に便利
周辺地域の拠点「JR和木駅」
(その2)夢のマイホームをサポートします
町内に住宅を建設・購入された方に建設奨励金制度あり
(その3)家計にやさしい
幼小中の給食費は無料(お子様1人で年間4万円お得です)
(その4)園児はまかせて
幼稚園は授業料月額5千円、3歳児保育の実施 遠距離には無料バスの運行
(その5)それは安心
中学3年生までの医療費を助成します。
(その6)町の援助で!!
オーストラリアでホームステイを実施します
(その7)清潔・安心!
公共下水道の普及率が99・5%です

いいとこですねエ。町政の中心がくらし、子育てにしっかり視点が据えられています。
子どもたちは、きっと幸せに暮らしていることでしょう。行ってみたいと思います。

「先進国で最も子どもが幸せな国オランダの人々の生き方・働き方と子育て事情」

1月30日に子どもと女性が輝く社会実現調査特別委員会の研修がありました。
非常に感銘を受けました。
講師:リヒテルズ直子さん
(オランダ人の夫と2人の子息を持つ、学校教育・社会制度の研究者で著書多数です)
オランダの社会、子育て事情は、をお聞きしました。
まず、親の労働時間は、短い。週3~4日。(8割の人は、週19時間以内、40時間以上は5.4%)
OECD統計では、労働時間の年間平均は、
オランダは、1419時間(第2位)日本は1719時間(第12位)。
ちなみに1位はドイツで、1371時間。13位はアメリカ合衆国で1790時間です。

この結果、オランダでは、幼い時から、親と過ごす時間が長い。親との会話時間が長い。子どもに精神的な落ち着きが育つ。学校教育への保護者の協力が増えるなど。
国は、ベーシック・インカムをすべての国民に保障。あくせく働く必要はまったくない。
しかし、学ぶ環境は保障されているから、国民は様々な分野で活躍する。
社会的な出来事や政治にも関心が深い。(しかし極右政党の台頭がみられるとのこと)
このようなオランダを「成熟市民社会」と呼び、2つのテーマが紹介されました。
1つは、「ワークシェアリング(同一労働同一待遇)が実現した背景」です。

・社会経済評議会:政府・労働者・使用者の代表が11人ずつ計33人で、毎月1回集まって経済政策を策定する
・CAO協定:業界ごとに企業連合と組合は争議する。
・企業内の経営参加委員会:企業内職員が造る委員会で企業理事に対して同意権と勧告権が認められている。
2つ目は、ポルダーモデル(合議による意見形成モデル)「ポルダー」とはもともと地盤が海面より低いオランダの国土です。絶えず土や砂を入れて土地を高くしなければなりません。つまり砂や土を入れてみんなが安心して生活できるようにということでしょうか。

オランダの学校教育や公教育のあり方
ここに書き尽くせないほど、多くのことや広い範囲にわたる教育の歴史と営みが語られました。
お聞きした内容を簡単に紹介するにとどめます。お許しください。
1、 教育の自由=学校と教員の自由裁量権が最大限に認められる。
・100の学校=100の教育(教育理念・設立・方法は自由)
・学区制はない
・学校を自由に選べる
公立校・私立校も高校まで無償、(公私の学校数の割合は3:7)
全体の1割を占めるオールタナティブ教育は公私どちらにもある。
(シュタイナー教育、フレネ学校、モンテッソリー、イエナプラン・・)
2、 やり直しのきく学校進路
・大学(修士)進学をめざす(6年)
・高等専門学校(学士レベル)進学を目指す(5年)
・中東専門学校進学をめざす(4年)
・現場実践中等教育(4年)
途中の変更は可能・・やり直しがきく - 4つのコース
3、 効率的な学び・自分らしい発達の保障(ITやPCも使う)
4イエナプラン教育(違いから学ぶ・生きた世界の中で学ぶ・・)
5シティズンシップ教育(市民=主権者、有権者)
・民主的市民社会のシティズンシップとは社会的正義、社会参加的行動、個人としての義務
・学校という共同体で、仲間市民としての子どもたちには、学校は練習の場

みなさんは、これらの言葉から何を想像されますか。チャレンジテストや内申点などと無関係な楽しい学校を私は思い描きました。子どもたちはきっと楽しく学ぶことができることでしょう。
「自尊感情」をわざわざ教える必要などありません。何が起きてもきっと力強く生きていくことでしょう。世界一幸せな、オランダのこどもたちです。私たちも子どもの幸せのためにがんばりましょう。

 

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