12月14日(火)開催されました建設委員会の付託案件となっていた
議案第120号「堺市おでかけ応援利用者証条例の一部を改正する条例」
「おでかけ応援制度の対象を現在の65歳以上から70歳以上に段階的に引き上げる」案は維新を除く委員の賛同が得られず、否決されました。
日本共産党 石谷やす子議員が行った討論(要旨)は、以下の通りです。
おでかけ応援利用者証条例を一部改正する条例案についての討論(要旨)
第120号おでかけ応援利用者証条例を一部改正する条例案について。本議案について日本共産党堺市議会議員団の意見を述べます。
先ず、公約の重みであります。
永藤市長は2回の市長選挙で維持拡充を市民に公約したもので、その任期中に、制度縮小は公約違反であり、制度維持拡充を期待して投票した市民の民意に背くものです。民意軽視のそしりは免れません。制度改変をするならば、民意を再び問うべきです。市民と議会に納得のいく説明が必要であります。政治家として公約の重みを知るべきです。
制度改悪の理由は、「財政危機宣言」を出すほど危機的な財政だとしています。あたかも本市財政が一刻の猶予もないような逼迫したものなのかと印象を付けて、一律に全事業をゼロベースで見なおすという提案自体が乱暴です。財政の何を守り、何を削るのかという思想も哲学も無く、あるのはとにかく予算削減だけが目的としか見えません。一方で、ベイエリア開発には一切触れないのは理解ができません。
高齢者が以前より健康になったので必要ないというのも、理由になりません。高齢者の社会参加が目的です。健康か不健康かを判断の理由にすること自体大変苦しい言い訳です。
おでかけ応援制度は、市民運動と議会の議論で実現した経緯があります。2004年度、高齢者の社会参加を目的に施行され、当初は月3日の指定日のみの利用制限がありましたが、利用範囲が拡大され、現行制度まで、改正を数年ごとに6回しており、その都度、議会は全会一致で徐々に現在の制度へ完成させてきたものです。
当局は、高齢者の社会参加の動機付けに効果があり、それが地域の経済活性化につながり、高齢者の健康増進にも寄与していることを認めています。交通費負担は低所得の人ほど重くなりますので、100円バスは低所得者の支援になります。交通費負担が軽ければ、外出の機会を増やし、仲間と交流し、高齢者の生きがいづくりと健康増進にります。5年の年齢縮小によって予算削減額は2022年度から2030年度までで約6億円で、そのため失われる経済波及は約30億円と示されました。市内経済に大きな影響を及ぼすものです。また、予算削減額に対して税収のマイナスがわずかである、と強調されていますが、それをもって、制度改悪を正当化する理由になりません。
ただ単に施策をカットして目の前の支出が減れば、その時は、一時的に財政負担が軽くなったように見えるでしょう。しかし、その後の影響を無視できません。
つまり、高齢者の社会参加の機会が減退した場合に発生する消費減少とともに、高齢者の老化が進み医療費、介護保険等にかかわる財政の負担がどうなのかと堺市の財政の全体に及ぼす影響をよく見る必要があります。バスなどの公共交通が便利で移動の自由や権利が保障されれば、車の利用が減り、交通事故、環境問題の課題解決に貢献します。
住みよい堺のまちづくりのためにも、公共交通は充実こそずれ後退させてはならないことを申し上げ、本議案に反対の意見といたします。
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