11月10日、日本共産党堺市議会議員団は次の声明を発表しました。
「堺市財政危機宣言」及び「財政危機脱却プラン(案)」について
2021年11月10日
日本共産党堺市議会議員団
堺市は10月21日に「財政危機脱却プラン(案)」(以下、プラン(案))を作成・公表し、パブリックコメントを実施しました。プラン(案)は(素案)の発表時点で、「おでかけ応援制度」の「対象年齢見直し」が示されていましたが、永藤英機市長は選挙公約で「拡充する」とはっきり公言しており、「見直しは公約違反」と市民からも議会からも厳しい指摘が相次ぎました。しかし、プラン(案)にも依然として記載されています。
一方で、大阪府市が推進するカジノ・IR・万博と連携した堺旧港をはじめとするベイエリアや堺駅周辺の開発事業、SMIプロジェクトと称した新交通システムなどの大型開発、大仙公園敷地内のガス気球事業は「将来の税源涵養」を盾にして、巨額の税投入を許す「重点投資」の対象になっています。
同プラン(案)は、本年2月に永藤市長が突如発表した「堺市財政危機宣言」に基づいて策定したものですが、百歩譲って「財政危機」として言える指標は、財政構造の弾力性を示す「経常収支比率」の高さ、以外にありません。これまで、堺市は無駄な大規模公共事業も抑制してきたため、普通建設事業費の割合は政令市平均よりも低く、公債費は2020年度をピークに減少していく見込みです。また、この数年間は、市民生活に必要な施設整備、子育て・教育・高齢者・健康増進など市独自施策・事業等に、概ね妥当に予算配分されてきました。
一方で、100%を超えた経常収支比率は改善する必要はありますが、そのためには不要不急の事業を見直すべきだと考えています。なお、堺市は、将来返済するために積み立てている減債基金には手をつけておらず、今すぐ財政破綻するような状態ではありません。わざわざ「財政危機宣言」などを発出し、市民の不安を煽る必要はなく、十分に改善できる余地があります。
しかし、経常収支比率を下げる中心的手段として、同プラン(案)が示しているのは、人件費、扶助費、補助費等の市民サービスに直結する歳出の削減です。また、永藤英機市長は100%を超えたままだと「不測の事態や新たな行政課題への対応が難しくなる」と言いますが、今般のコロナ感染拡大を見ればわかるように「不測の事態」に対しては、国が財政補填を行います。そもそも、「新たな行政課題」とする財源確保の目的・実相は、建設事業・開発事業のためにあります。そして、その開発事業の大元は、大阪府市が推進する万博・カジノIRに他なりません。
加えて、重大なのは、「大阪の成長戦略」などとして大阪市中心の大型開発やカジノIRを目的とした大阪府市の「広域行政一元化条例」によって権限を付与された「副首都推進本部(府市)会議」をはじめ、「(仮称)新しいまちづくりのグランドデザイン推進本部会議」、「大阪広域ベイエリアまちづくり推進本部会議」などの「任意」の会議体に市民不在で巻き込まれていることです。いよいよ堺市は維新政治のもと財政自治の重要な部分を放棄しはじめています。
自治を放棄して、大阪府市の万博・カジノIRなどの開発事業に追随し、その財源捻出のために市民サービスを切り捨てるような、財政運営を許してはなりません。
さらに、市民に対して「財政危機」を煽りながら、一般の市民、市民の代表である市会議員を排除し、市長及び区長が直接に自治連合協議会の各校区代表者のみだけに財政状況の説明会を行うという異例な取り組みも看過できません。
地方自治体の目的は「住民福祉の向上」です。本来の目的を放棄し、人の不幸の上に成り立つカジノIR事業などに堺市をこれ以上巻き込ませるわけにはいきません。日本共産党堺市議会議員団は、2023年の大阪府知事選挙、堺市長選挙、統一地方選挙において、幅広い市民の方々と共同の輪を広げ、「住民合意」を重視するまちづくりに全力をあげる決意です。
以上
「財政危機脱却プラン(案)」に対する市民意見を堺市は募集します。11月18日(木曜)(必着)です。詳細は、
https://www.city.sakai.lg.jp/smph/shisei/gyosei/kaikaku/ikenboshu.html
をご覧ください。