2020年度決算認定 藤本議員が反対討論

決算委で反対討論する藤本さちこ議員 

決算委で反対討論する藤本議員

9月15日 決算審査特別委員会が開催され、2020年度の決算等についての委員会採決が行われました。日本共産党堺市議会議員団を代表して、藤本さちこ議員が採決にあたり、反対討論を行いました。その要旨は、以下の通りです。

2020年度決算 藤本さちこ議員 反対討論 <要旨>

 日本共産党を代表して、2020年度堺市各会計決算について意見を申し述べます。新型コロナウイルス感染症のパンデミック――世界的大流行が、なお猛威をふるっています。1年半におよぶパンデミックは、日本社会が抱える矛盾を根本から明るみに出すとともに、このことに対する対応能力を問うものともなっています。

 コロナ対策関連経費の増加で、歳入歳出は過去最大規模となりました。法人税率引下げ、コロナ感染拡大による企業収益悪化による法人市民税が大幅減少する一方で、納税者数の増加により個人市民税が増加し、消費税率引上げで地方消費税交付金が大幅増加しました。

 市債残高は、臨時財政対策債が増えているため、全体は増えているものの、臨財債を除く市債は減少に転じています。基金の残高は、減債基金の積立に加えコロナによる事業中止や延期によって約16億円が不要となり、増加しています。経常収支比率は2年連続で100%を超え、単年度収支は3年連続赤字となっており、収支の改善に向けた努力は当然必要です。

 一方で、いま求められているのは「将来の税源涵養」という根拠のない大規模事業等に莫大な税金を投入することではありません。コロナ禍を必死の思いで耐えている市内の中小零細事業者や多くの住民の命とくらしを最大限に支えることです。

 市民の多くは、「コロナ禍」の中、様々な困難・問題を抱え、これまで以上に、切実に、国・大阪府・堺市に対して支援を求めています。市民に寄り添い、市民の期待の声に応え、住民福祉の向上を第一義の任務とする地方自治体の役割が今ほど求められるときはありません。市民の命とくらしを守る施策を優先しながら、不要不急の施策を見直し、歳出を抑えて財源を捻出するとともに、国・大阪府に対しても、必要とされる財源について、強く求めていかねばなりません。こうした観点に基づいて、以下各点にわたり、市政に対する評価、要望等を申し述べます。

 まず、財政状況についてです。本市の財政は、2016年度(平成28年度)以降、恒常的な収支不足により、基金を活用しながら財政運営を行ってきています。その主な要因は、高齢化に伴う社会保障関係費が増加していること、市単独事業のサービス拡充、公債費とのことです。公債費については、臨時財政対策債を除けば2020年度(令和2年度)をピークに減少していくとされています。

 一方、臨時財政対策債を含めれば微増とされていますが、国策である臨時財政対策債は、本市も含め全国で同じ傾向なので、それを比較してもあまり意味を成しません。

 つまり、収支不足の主な要因は、「市民生活に近い」社会保障関係費や市単独事業となります。しかしながら、永藤市長からも「市民生活からなるべく遠いところから」事業見直しをする旨の発言があったように、地方自治体として「住民福祉の向上」に資する事業に税投入することは妥当であり、かつ、まともな検証もなく簡単にカットできるものではありません。

 しかし、先般、発表された「財政危機脱却プラン(素案)」の中身は、「おでかけ応援制度の縮小」や「泉北高速鉄道通学費負担軽減事業の廃止」などが示されています。また、約20億円の大部分を占める「ハード事業の総量管理」約11億円の内訳は不明であり、「聖域」ありきの(素案)だと言わざるを得ません。また、この間の「0歳〜2歳児の第2子保育料無償化の突如の延期発表」、「民間保育施設の保育士確保等補助金の大幅カット」、「高齢者の紙おむつ代補助金削減」など、市民生活を犠牲にしてきた路線を突き進んでいます。

 「財政危機宣言」等は、制度上の基準はなく、各自治体の判断によって発出されるものであり、そのため「危機」が示すレベルは様々です。従って、「危機」という抽象的な言葉は一人歩きしがち、です。

 政令市の中でも、京都市の財政状況は客観的に見ても「危機」のレベルが堺市と比べ物になりません。京都市は、20年前に財政調整基金が枯渇しています。京都市特有の事業展開ではあるものの、過剰にインバウンド事業や観光業での税収を見込み、市営地下鉄の延伸など巨大開発に多額の支払いが生じたとの報道もありました。

 そういった事象により、「禁じ手」である「満期一括償還に備えた減債基金」にも手をつけ、その基金も2024年頃(令和6年頃)に枯渇。さらに、その数年後には「財政再生団体」になる見通しと、京都市のホームページで発表されています。

 その点、本市は「満期一括償還に備えた減債基金」には手を付けていません。そして、2030年度(令和12年度)までに約9年間かけて収支均衡をめざすとなっており、毎年度毎年度、その時の本市の状況や市民の暮らしを十分踏まえて、慎重かつ丁寧に行財政改革を行っていける時間的な猶予があります。

 わが党は、収支均衡をめざすことに反対しているのでありません。以下、詳しく述べていきますが、体力のある大企業に対する行き過ぎた減税や、「税源涵養」という言葉を盾にした事業は「聖域」として手をつけず、一方的に市民生活に直結する事業を狙い撃ちする仕方は間違っています。本来なら、情報を詳しく市民に示し、十分な議論をして賛否を問うことが必要です。

 次に、認定こども園等整備事業についてです。施設増築や大規模改修の補助の要件が待機児童の解消のための受け入れ枠増加のみとなっています。これまで待機児童解消のために協力してこられた施設の長寿命化や安全確保の観点から、受け入れ枠の増加に限定せず活用できるよう柔軟な対応を求めておきます。

 次に、「障害者(児)日常生活用給付」のストマ用装具についてです。本市の基準額は全国平均よりも低く、自己負担が発生する利用者もいます。早急に給付額を引き上げる検討を求めておきます。また、利用者がストマ用装具を購入の際に、的確な情報を得られる丁寧な相談体制を取るよう求めておきます。

 次に、堺市ひとり親世帯家計相談事業についてです。ファイナンシャルプランナー相談により、ひとり親の経済的自立を支援するという事業です。根本的には、生活基盤が安定してこそ経済的な自立に繋がります。コロナ禍のもと、より影響を受けるひとり親家庭に対し、直接的な生活への支援をさらに強化していくことを求めておきます。

 次に、学校教育ICT化推進事業についてです。同事業の決算額は、35億7615万750円。GIGAスクール構想の実現に向けて、児童生徒一人1台の端末約7万台と校内高速通信ネットが整備されました。課題は、機器類のコスト削減やセキュリティ強化、システムの維持管理等が挙げられています。昨年2月の補正予算では、小学校5・6年生。中学1年生の3学年が対象でしたが、その後7月の補正予算で全学年に拡大されました。

 子どもたちの学習に使用する文房具としての位置づけや、家庭へのライブ配信などの必要性を上げられましたが、学校での活用状況は、そのような活用にまだ到達できておらず、教員間、学校間の格差があるとのことです。

 ICTの必要性は理解できますが、それには準備や検討が不足していることが明らかです。学校へのICT支援員は、142校に12人です。これでは7万台をいっきに整備されても活用には届きません。中教審答申は「1人1台端末整備」自体が目的化しないよう留意すること」と指摘しています。当初の予定通り、丁寧な検証を重ね、段階的に整備する方針の方が望ましかったと述べておきます。

 次に、コロナ対策について要望します。変異株の影響もあり、感染拡大が止まりません。本市においても、子どもや若年層へも感染が広がり、学校や児童施設でのクラスターも報告されています。

 医療崩壊を起こさないために、医療機関へ財政支援も行い、病床の確保や、往診や訪問看護など在宅医療の強化をすすめること、臨時の医療施設の検討が必要です。

 新規の感染者を減らすために、事業所や学校、保育園でのPCR検査や、多く発生している地域での集団検査を行い、無症状の感染者を見つけて保護、治療すること、そして人流を止めるために自粛と一体の補償をすることを求めます。堺市として全力を上げて行うことが今求められています。医療体制の確保、検査の拡充、自粛と一体の補償を求めます。

 ジェンダー平等についてもわが党の見解を申し述べておきます。個人の尊厳とジェンダー平等は、今や世界中で、疑う余地のない価値になっています。
2021年に行われた世界経済フォーラムの調査における日本の現状は、153か国中120位です。特に経済と政治の分野で日本は大きく落ち込んでいます。

 かつて、男女雇用機会均等法が実現したものの、未だに女性と男性の賃金の差は、平均で25%の差があります。ジェンダー平等は決して意識だけ問題ではなく、社会に存在する矛盾した事実の一つ一つを解決するべきものです。
それは、法律や制度の改正に求められます。だからこそ、ジェンダー平等に向けた取り組みが国や自治体に強く求められているのです。

 ジェンダー平等は、SDGsの「持続可能な開発目標」における17のうちの一つです。SDGs未来都市に選定された堺市が、ジェンダー平等を取組むのは当然のことです。公平、公正、安全で自由な未来都市を堺市が先頭に立って実現するよう改めて求めておきます。

 次に、漁業環境保全事業についてです。地球温暖化による気候変動で台風や豪雨が頻繁に起こり、上流から木々をはじめ、缶、ビン、プラスチック類など、様々なごみを大量に大和川や石津川に運んできます。一級河川の大和川は国土交通河川事務所、二級河川の石津川は大阪港湾局が維持管理を行っていますが、ごみの行き着く先は海域です。

 漁協では、ごみ処理のたびに操業を中止し、漁港の掃除に1〜2週間かけ、ごみ収集しています。堺泉北港港湾区域の漂流ごみの回収実績を見ても2019年度(R1年度)1501㎥が2020年度(R2年度)2726㎥と2倍近くに増加している現状です。漁協の方たちは、「流れ着いたごみで海を汚され、仕事もできず、船の借り上げ料、ガソリン代、人件費などの負担が大きく大変。」と言われています。

 本市には、4つある漁業組合は、それぞれに年間最大110万円、月にすると約9万円の補助金が交付されていますが、これでは、人件費どころか、燃料代にもならないと嘆きの声です。今日、海洋プラスチック問題など海洋環境問題が、生態系に大きな影響を及ぼし、プラごみの海洋流出をどう食い止めるかが、本市でも喫緊の課題となっています。河川管理者である国・府の、プラごみの減量化やごみ回収への財政的支援は欠かせません。堺市だけの支援にとどまらず、国、府とも連携して支援を強めるよう要望しておきます。

 次に、伝統産業振興事業についてです。伝統産業は、長い歴史の中で、培われてきた高い技術力を後世に継承し、都市魅力の向上に資する大切な地域の資源です。伝統産業界では、工場閉鎖や経営者や職人さんの高齢化が進み、後継者の確保が急務となっています。本市は、伝統産業の後継者育成に取り組む事業主に「堺市伝統産業後継者育成事業補助金」などの支援を行っています。

 堺伝統産業と同様の土佐刃物を持つ高知県は、鍛冶屋創成塾を開塾しました。また、高知県の香美市に居住すれば、入塾するための補助金が支給されます。後継者育成に新たな道を切り開いています。

 後継者育成に向け、伝統産業後継者問題を事業主任せにせず、本市学校教育の中でも若い世代に伝統産業の魅力を伝え関心を持って触れ合える機会を作るよう本市の一層の取り組みを要望しておきます。

 次に、企業投資促進事業のうちイノベーション投資促進条例についてです。本市は、2020年4月施行の同条例の特徴として「成長産業分野における投資を本市に呼び込む」ことを掲げています。そして、その効果は、「株式会社加地テックの水素ステーション用圧縮機の需要増に対応する工場の建替え及び生産設備の新設を行う投資」と、「株式会社クボタのICTを活用したスマート農機等の研究開発体制強化のための研究開発拠点の新設を行う投資」として現れていると言います。

 ところが、同条例の施行前に、株式会社加地テックは「2019年10月31日に本社組立工場を建設する」とすでに決定、また、株式会社クボタは「2018年12月26日に研究開発拠点新設のために堺市堺区に用地取得」をしていました。

 つまり、約17億7000万円もの減税がなくても、これら2社は本市で企業展開するつもりだったのです。なお、これら2社はコロナ禍においても体力を益々つけている、本市になくてはならない優良企業です。従って、企業が望んでいるように税金は応能負担の原則で納めてもらうよう求めておきます。

 次に、インバウンド推進事業についてです。新型コロナウイルス感染拡大による入国制限などの影響により、2019年度と2020年度を比較すると、本市の外国人宿泊者数は約18.7万人から約1.4万人に、市内の3つの観光案内所の外国人来所者数も約3700人から100人程度にまで大幅に落ち込んでいます。この数値から明らかなように、人流が抑制されるアクシデントにインバウンド事業が脆弱であるかを知らしめました。

 次に、そういった状況の影響を受けている大浜北町市有地活用事業についてです。この事業は、株式会社アゴーラ・ホスピタリティ・グループが約60億円で320室のホテルを市有地に建設するものです。2023年ごろの開業予定となっています。しかし、ホテル事業や飲食事業はコロナ禍で低迷しています。アゴーラは本市に対し、賃料支払い猶予を繰り返しており、約1年分3501万7000円を猶予しているうえに、現在3か月分913万円を滞納しています。

 本市の説明では、「開業すれば毎年約1億円の固定資産税が払われる。税収になる。波及効果がある」というものです。しかし、アゴーラは賃料の上に、事業費の融資の返済と固定資産税の支払いができるのでしょうか。コロナ前の当初の計画通りに進んでいない夢洲における関西万博、カジノ・IR誘致でのインバウンドに過度に期待しているようですが、本当に大丈夫なのか、これらの質問に明確な答えはされていないままです。

 本市がホテル周辺整備に9億以上の予算を計上しているうち執行されているのは約7000万円です。立ち止まって冷静に考える必要があります。先が見通せない中で、急いで事業を進めることはありません。

 次に、臨海部活性化推進事業についてです。この事業は、先に述べたインバウンド推進事業、大浜北町市有地活用事業で顕著になった問題を避けて通れません。ところが、実態に即した検証を行わない姿勢が決算審査を通じても明らかになりました。

 2020年度の決算額は、堺旧港における水辺空間の利活用、交流機能の導入など、その取組の方向性や活性化方策などの検討に係る委託料等で約1210万円となっています。そのなかには、わが党が指摘した「非公開」で開催された専門部会の費用も含まれています。

 公費が投入されている会議は原則公開です。ところが、同部会を「非公開」にしました。また、同部会は、どの自治体にも属さない会議体という特殊な形態をとっており、会議の構成員も主催の仕方も、市民や議会の監視が行き渡らない脱法的な仕組みになっています。

 このような「任意の会議」は、「3者による副首都推進本部会議」、「大阪広域ベイエリアまちづくり推進本部会議」、「堺駅・堺旧港周辺まちづくり専門部会」をはじめ、「副首都推進本部(府市)会議」で示された「(仮称)新しいまちづくりのグランドデザイン推進本部会議」として、次から次へと立ち上げられています。公費が発生するにも関わらず、非公開にするかどうかは自由勝手にできます。

 さらに、いわゆる「広域行政一元化条例」に基く、「副首都推進本部(府市)会議」と「(仮称)新しいまちづくりのグランドデザイン推進本部会議」に本市が出席する場合、例え、大阪府全体のまちづくりの方向性に異論を持ったとしても、その意見の担保は、保障すらされないというものです。まさに議会軽視そのものです。

 「広域行政一元化条例」や各種「任意の会議」は、「都構想」の真の狙いである都市計画、つまり、大阪市の大規模開発を中心に実行する「バーチャル都構想」そのものです。このような会議体に本市が唯々諾々と参画していくことは断じて認められません。

 以上の理由により、2020年度堺市決算認定に反対することを申し述べ、日本共産党の意見といたします。

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