2021年度当初予算案 藤本議員が反対討論

 3月15日 予算審査特別委員会が開催され、2021年度の予算案等についての委員会採決が行われました。日本共産党堺市議会議員団を代表して、藤本さちこ議員が採決にあたり、2021年度当初予算並びに関連議案についての反対討論を行いました。その要旨は、以下の通りです。

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 2021年度当初予算並びに関連議案について、日本共産党の意見を申し述べます。

予算反対討論する藤本議員

反対討論する藤本議員=3月15日 予算委

 まず、いわゆる「堺市財政危機宣言」について感じたことを述べます。市長は、「堺市の財政は健全と言い過ぎ」「誤解を与えた」として「財政危機宣言」を発出し、抜本的な改革を集中して実施するとしています。しかし、総務財政分科会の質疑で明らかになったように、当局は「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」の基準値に基づく認識を示してきただけであり、「その認識以上の意味を持たせて市民に財政状況を示してきた」事はありません。また、宣言の発出は唐突なものであり、堺市行政組織全体で十分検討されておらず、政治的な誘導のように感じられます。

 さて、本題に入りますが、提案されています予算規模は、一般会計が 4236 億円、特別会計と企業会計を合わせた全会計が 7601億円となっています。一般会計は、2年連続の減少となりました。

 しかしながら、全国を見渡せば政令市20市のうち17市で昨年を上回る規模の予算案が示され、13市が過去最大の規模になっています。大阪府においても予算内容については賛同しかねるものがありますが、過去最大規模の予算編成となっています。それぞれの自治体に様々な財政状況がありながらもコロナ禍の中で苦しむ市民の苦難を軽減する試みのあらわれではないでしょうか。その点、堺市の姿勢は特異なものだと言わなければなりません。

 

 

 今予算案の中で、とりわけ「将来の税源涵養に繋がる投資の呼び込み」は、市長の肝煎り政策になっています。その中身は、新たな投資を行うことのできる体力のある大企業への大減税、そして補助金などのメニューが並びます。本来なら、もっとも手厚い公的援助が求められる非課税世帯の高齢者が対象であるおむつ給付事業を削減し、要介護3から要介護4へ後退させ、さらに、子育て世帯の将来の人生プランを大きく狂わす保育料無償化の所得制限化など、コロナ禍で厳しい暮らしを余儀なくされている市民には大変冷たいものとなっています。市長は「極力、生活に遠いところの内容から事業を見直し」と言いましたが、その実態は「生活に極めて近い事業」です。

 

 地方自治体の本来の役割は、地方自治法にうたわれる「住民の福祉の増進を図る」ことであり、市民一人ひとりが「堺市に住んで良かった」と実感できるまちづくりです。こうした立場に立って、以下各点にわたり、予算案に対する意見を順次申し述べます。

 

 

 まず、企業投資促進事業についてです。このうち「イノベーション投資促進条例」は、現時点で株式会社クボタと株式会社加地テックの2社に今後5年間、固定資産税等を計17億7千万円も大減税します。また、グリーンイノベーション投資補助金が創設され3億円計上され、2億円の交付が決定しています。債務負担を含めれば、9億5千万円になります。さらに、国の支援策と称しながら、実態としては本市自身が計画策定した「地域未来投資促進法」に基づいて法人税の優遇制度があり、前出の2社に措置しています。市民サービスには厳しい予算削減の一方で、大企業には二重三重に手厚い支援が施されています。体力のある優良企業への行き過ぎた支援と言わざるを得ません。

 

 次に、臨海部活性化推進事業、いわゆるベイエリア開発についてです。大阪府と大阪市によるIRカジノ誘致は、コロナ禍の影響を受け、大幅なスケジュール変更を余儀なくされており、完成は最低でも35年先と報道されています。従って、本市のベイエリア開発にも大きな影響を与えることは容易に想像がつきます。その証拠に、大浜北町市有地活性化事業であるホテル建設のスケジュールでは、すでに2年の遅れが生じており、見込んでいた借地料も支払い猶予し、約3,300万円が入っていません。ところが、来年度予算案においても、その費用として5億4千万円も計上されており、本年度と合わせると8億円にのぼります。

 市長は、行政ではなく民間活力でベイエリアの活性化や海上交通を図ると言いますが、既に市費は発生しています。また、民間企業が投資する際の最大の動機は、需要がそこにあるかどうかです。また、大阪万博も半年間の限定的なコンテンツです。コロナ禍の今、果たして、民間企業が振り向いてくれるでしょうか。常に民間企業の動向に左右されるのが同事業の宿命であります。

 また、大仙公園内に整備しようとするガス気球の基盤整備は、その運用開始時期が一般市民へのワクチン接種が行われているデリケートな時期と重なります。急いで実施する必要のある事業ではありません。このような横揺れに弱いインバウンドや観光事業に依存せず、内需をあたためる中小零細企業への直接支援や福祉施策にこそ貴重な財源を振り向けるよう求めておきます。

 

 次に、生活保護扶養照会についてです。「生活保護の申請は国民の権利です。生活保護を必要とする可能性はどなたにでもあるものですので、ためらわずにご相談ください。」と厚労省が呼び掛けているにも関わらず、市民が申請をためらう理由に家族らへの扶養照会が最大のネックとなっています。そもそも生活保護を申請しようとする人は家族等からの扶養関係が喪失してしまった人です。本市実績では昨年度4013件問合せして、援助に結びついたのは27件とのことです。行政への不信を生む事態も生まれています。まさに「労あって益なし」とは、このことです。扶養照会は、申請時の義務でも要件でもありません。職員の負担軽減のためにも、扶養照会はやめることを求めます。

 

 

 次に、GIGAスクール構想についてです。当初3学年に配備し毎年拡充される計画であったものが、全学年配備へと前倒しされ、昨年12月の端末配備と小中学校のネットワーク整備で合計約22億7千万円、次年度は維持費として約10億円が計上されています。今後5年間のリース料等は69億822万円で、うち国庫補助金は9億3,719万円となっていますが、5年後以降の国庫補助金について国の方針は示されておらず全く見通し不明です。堺市にとって過剰な費用負担となることが明らかです。今後、保護者負担へ転化される懸念もぬぐえません。

 端末導入ではコロナ禍で負担を抱える子どもたちのケアはできません。事業見直しとして教育関連予算で約8億円削減をしながら、一方で見通しのないGIGAスクール構想にのみ、莫大な予算投入をするのはあまりにもバランスを欠いています。今後のGIGAスクール構想の計画見直しも含め、少人数学級などコロナ禍でさらに必要性の高まる事業に堺市独自で取り組むことを求めます。

 

 次に、児童自立支援施設についてです。永藤市長の就任後、本市内に用地取得を済ませ整備目前であった堺市立児童自立支援施設整備が突如中断されました。その最大の理由は、建設費用35億円、ランニングコスト年間約5億円、つまりコストがかかりすぎると言うものでした。

 しかし、総括質疑での議論で明らかになったように、ランニングコストは国庫負担金等の歳入を差し引けば、約4億円であり、建設費も市債の償還期間を30年、金利を直近に発行した30年債の利率を参考に0.693%として試算すると、初年度で約9,449万円、以降は年々元利償還額が減少し、最終年度は約7,878万円になり、単純計算でも毎年度の支出は約4億8000万円となります。一方、先ほど述べたようにGIGAスクール構想では、今後5年間ランニングコストが毎年度約10億円もかかり、しかも、5年後以降、国庫補助歳入の見通しが全く立っていません。地財法二十七条に対する当局の認識不足や、不確定要素を含んだ合意書にも問題がありますが、そもそも中断の発端となった財政の面から見ても、本市域内での同施設整備を中止する道理はなく、基本計画は白紙にするのではなく堅持すべきであり、そのことを強く求めておきます。

 

 次に、第2子0〜2歳児の保育料無償化の所得制限化についてです。当初の予定では、令和3年度から3000人を対象として、保育料が無償化され、税源涵養に繋がる人口誘導を促し、特に経済的負担が大きい子育て世帯への支援を通じて、性別を問わず働ける環境整備等を進めるものでした。

 しかし、これも突如、無期延期の発表で、当事者は人生設計の大幅な変更を余儀なくされ、戸惑いや不安、そして怒りの声が議会に届けられました。そういった経緯の中で、前回の議会において、「対象となる予定だった全ての世帯の救済措置を求める決議」が全会一致で議決されました。ところが、はじめから予算の上限ありきで内部検討したために対象者が3000人から400人へと激減する制度へと大きく後退することになりました。少子化対策、人口誘導、女性の社会進出を進め、将来の税源涵養に繋がる本来の目的からすれば、まさに逆行していると言わざるを得ない事態です。

 当初の予定通り、実施するべきと考えますが、少なくとも決議内容に沿った代替施策にするよう強く要望しておきます。

 また、民間認定こども園・保育所運営補助金についてですが、特に保育教諭等充実補助金が、約5億円から約2億6千万円へと半減されました。保育士不足が課題と言いながら、保育士等の待遇改善予算を削る。こんな矛盾した施策はありえません。予算の削減が実行された各施設はこれまで通りの保育環境を保とうとすれば、事業者の負担費用が増加し、事業運営を圧迫します。また、職員配置を減少させざるを得ない場合は、各保育士等の業務負担が増加し、さらなる保育士不足につながります。

 わたしたちは、緊急事態宣言時にも現場で従事された保育士等のエッセンシャルワーカーの皆さんに、慰労金を早急に支給すべきと議会で要望してきました。堺市は当初、消毒液やマスクなどの現物支給に終始していました。しかし、現場からの声や全国自治体の動きに呼応しての議会論戦の末、ようやく本市でも2万円のQUOカードが支給されることになりました。3月上旬に永藤市長の手紙が同封されたQUOカードが届いたとのことです。その手紙の一節は次のように綴られていました。「皆様への感謝と今後に向けた応援の気持ちを送ります」。

 しかしながら、一連の予算削減は「応援」どころか「冷や水」を浴びせるばかりです。

 

 次に、雇用についてです。新型コロナウイルスの感染の広がりは、市民生活に大きな影響を及ぼしました。緊急事態宣言の下、業務縮小やテレワークで収入が減る、職を失うという事態を招きました。

 国の労働力調査によると令和3年1月の正規の職員・従業員数は3、552万人前年同月比で36万人増加、一方非正規職員・従業員は、2058万人。前年同月比で91万人減少。男女別では男性が22万人減少であるのに対し、女性は68万人も減少しています。

 さらに、年齢別でみると失業者数は、55才以上の高齢者が52万人であるのに対し、54歳以下の現役・若者世代が145万人という実態です。54歳以下の現役世代は、子育て世代でもあります。

 NPO団体の調査から、一人親家庭だけでなく二人親家庭の困窮度の高まりが報告されています。堺市の雇用推進施策においては、非正規をなくし正規雇用を拡大する。ジェンダーの視点をもって女性の安定した雇用、あわせて現役子育て世代支援の視点からも施策が必要です。市の積極的な取り組みを求めます。

 

 次に、PCR検査についてです。この間、我が会派は、無症状者を含めた定期的なPCR検査の実施を求めてきました。しかし、当局の対応は国の検査基準の域を出ないものです。とりわけ、感染した場合にリスクの高い高齢者施設での利用者と職員への定期的なPCR検査の必要性を訴えてきました。これについても、市長はじめ当局は当初、否定的でした。ところが、第3波の拡大に伴い再び緊急事態宣言が発令された際に国の方針が変わったことを理由として、高齢者施設等での職員へのPCR検査を公費負担することになりました。これ自体を否定するものではありません。しかし、国の動向を注視するばかりに、自治体独自の判断で動こうとしない本市の姿勢には残念な思いです。引き続き、施設利用者も含めて定期的な検査を実施するよう求めておきます。また、変異株への対応は急務です。感染率が従来株より40─70%高いとされており、例えば従来株の実効再生産率が1.0の場合に変異株は1.4ー1.7になるということです。つまり、1.4を乗じて増えていけば、2日で2.0倍、3日で2.7倍、4日で3.8倍となり、1週間で10.5倍になる計算です。詳細な計算は専門家に譲りますが、致死率が格段に高いという報道があります。そうなれば、もはや、全数近いPCR検査で陽性者の発見・隔離・治療に取り組む以外に道はないと付言しておきます。

 一方、これから、コロナワクチンの接種が始まります。ワクチン接種を望む市民に対して、安全に接種できる環境整備とともに、医療従事者の皆さんの労働環境にも配慮してもらうよう求めておきます。また、ワクチン接種を望まない方も当然いらっしゃいます。その方々の意思も尊重する啓発の徹底もお願いしておきます。

 

 最後に、副首都推進本部会議及び「広域行政一元化条例」に対する態度についてです。本市と大阪府及び大阪市の3者が参画する副首都推進本部会議は、要綱で定められただけの任意の会議体であり、何の権限も持ち合わせていません。ところが、その場において、松井大阪市長が、堺市の消防行政などに土足で踏み込みこんでいます。消防行政に関して、「大阪消防庁」なる構想を勝手にぶち上げ、そこに堺市も参入せよと言わんばかりに、公然と自治権を侵害する行為が横行しています。ところが、堺市民の代表である永藤市長は、それに反論するどころか、同調し「検討する」と言い出す始末です。

 そのような状況のもと、大阪市を廃止し特別区を設置する、いわゆる「大阪都構想」が否決された直後に大阪市の権限と財源を移譲する「広域行政一元化条例」が大阪府議会及び大阪市会に提出されました。この条例は、大阪府と大阪市の間で交わされる条例となっていますが、他の市町村も無関係ではありません。広域行政を担う大阪府が大阪市の開発をメインとした「成長戦略」である「グランドデザイン大阪」を議論するとなった場合、大阪府内の市町村は、その流れに拘束されることが強く懸念されます。

 条例の第6条第5項には、出席を求める者の中に、「府内の市町村の長」と規定されています。そうなった場合、どうやって、市町村の長の意見が担保されるのか何の保証もありません。また、冒頭で紹介したように副首都推進本部会議でのやり取りを見れば誰であっても不安になります。

 重ねて要望しますが、3者が参画する任意の副首都推進本部会議から撤退するべきです。併せて、大阪府市の協議をするための政令市都道府県調整会議を拘束力のある副首都推進本部会議として条例化し、他の自治体も巻き込み、地方分権の流れに反する動きに対して、市長は自治体の責任者として、反対の姿勢を毅然と示すべきです。

 

 以上、各事業に対する評価を述べさせてもらいました。以上のことから2021年度当初予算案は、地方自治体の最大の責務である住民の福祉向上の視点にたった予算編成とは思えません。従って、本予算案には同意できないことを表明し、日本共産党の意見とします。

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