2019年度の決算 藤本議員が反対討論

9月15日 決算審査特別委員会が開催され、2019年度の決算等についての委員会採決が行われました。日本共産党堺市議会議員団を代表して、藤本さちこ議員が採決にあたり、反対討論を行いました。その要旨は、以下の通りです。

藤本議員 決算討論

2019年度堺市各会計決算について反対討論(要旨)

 日本共産党を代表しまして、2019年度堺市各会計決算について意見を申し述べます。

 まず、財政状況についてですが、当局は、経常収支比率の上昇により、財政構造は硬直化、また、財政収支見通しにおいては、毎年40~50億円程度の収支不足が発生するなど財政の厳しさを示してきました。加えて、コロナ禍により財政はより厳しくなっていきます。今後は、市民の命とくらしを守る施策を優先しながら、歳出を抑えて財源を捻出していかねばなりません。

 しかし、経常収支比率の上昇は、2017年度の全国の自治体の経常収支比率がどうなっているか総務省「地方財政白書2019」によって示されているように、すでに大部分の自治体が80%以上、半分以上が90%以上の水準になっています。その原因は、地域の基盤整備が進むなか、少子高齢化を背景とした福祉や教育などの公共サービスの必要性に迫られた結果であり、本市特有の問題ではありません。

 問題は、新型コロナウイルス感染症による第1波で大きな打撃を受けている医療機関はじめ介護施設や障害福祉サービス事業所等の社会的基盤を担う施設の運営を支える抜本的な財政支援や無症状者を含むPCR検査の体制拡充でコロナの抑え込みを行おうとしない本市の姿勢です。抑え込みを成功させてこそ、安心して経済活動や教育、子育てなどの社会活動を再開することができます。

 以下、各点にわたり、市政に対する評価、要望等を申し述べます。

 2021年度当初予算に向けて、収支不足に対応するため、ゼロベースで事業見直しを進めていくとのことですが、まずは廃止した鉄道軌道基金の全額約33億円を財政調整基金に積み替えるよう要望しておきます。また、約180億円の公共施設等特別整備基金も活用して、なくてはならない医療機関をはじめとする社会福祉施設への財政支援を強めるよう求めておきます。

 当局は、「第2子の0~2歳児の保育料無償化」の延期を市長専決で決めました。こうした決め方は議会軽視と言わなければなりません。保育料無償化の目的は、経済的負担が大きい多子世帯への支援であり、少子化対策や人口誘導、女性の社会進出も促すものとなっています。国の幼児教育・保育の無償化による市の負担軽減額は13億円であり、2021年度から予定していた市独自の第2子0~2歳児の保育料無償化にかかる所要額は8億円です。十分賄える額です。国も無償化による市の負担軽減額を地域の子育て支援のさらなる充実に活用することを求めています。そうであれば、本市としてアナウンスしてきた0~2歳児の保育料無償化は予定通り実施すべきです。

 一人一台のパソコン整備は前倒しではなく予定通りの実施に戻したり、百舌鳥ビジターセンターなどの整備や臨海部活性化推進事業など、見直す必要がある事業があるにも関わらず、子育て支援事業を真っ先にやり玉に挙げるやり方は理解を得られないと厳しく指摘しておきます。

 次に、学校図書館司書について、学校図書館には専門性のある学校司書が常駐していることが望まれますが、これまでは中学校2校に1人の配置となっていました。今年度からは小学校にも学校司書が配置されていますが、1人が4校を受け持ち、各校に1週間に1日しか入れない状況です。

 学校司書が常駐してこそ、子どもたちの知的好奇心を満たし、一人ひとりの豊かな学びと自由な読書を支援できる学校図書館をつくれます。小中学校とも国基準の1.5校に1人の学校司書の配置ができるだけ速やかに実現できるよう要望します。

 次に、公立図書館資料費のうち図書購入費について、2013年度に比べ2019年度はほぼ横ばいですが、購入点数は2013年度は55,436点から2019年度は49,451点と5,985点減少しています。要因は消費税の増税などで購入単価が上がったことによるものですが、市民の受け取る情報の減少にもなり、購入点数の維持、増数のために図書購入費の増額を求めます。

 市民の権利としての図書館運営を続けていくためには、教育委員会のもとで運営が行われなければならないと考えます。また、管理運営を民間企業に丸投げする指定管理者制度は図書館には導入すべきではないと意見を申し述べておきます。

 次に、就学援助制度について、今年度はコロナの影響で家計が急変し、支援を必要とする世帯が増えています。堺市でも郵送での申請受付や、年度初めの申請期間を6月まで延長し、4月分からの支給を行うなど対応されていますが、京都市では12月末日までの申請でも4月分からの支給をするなど、さかのぼり支給の期間を延長しています。堺市でもさかのぼり支給を含めてさらに柔軟な対応を検討していただくことと、必要とする人のもとに必ず届くよう周知を徹底することを求めます。

 次に、防災対策についてですが、

 近年、頻発・激甚化する風水害や大規模な被害が、懸念される南海トラフ巨大地震や上町断層地震、また、新型コロナ感染症の感染拡大など危機事象が多様化・複合化しています。本市は、市民の安全・安心確保にむけて、地質や地域性の調査・研究をし、市民に迅速な情報提供を行い災害対策への取り組み強化を行うよう求めておきます。

 次に、アスベスト対策についてですが、

 アスベストによる健康被害は、将来に生命を脅かすものです。2028年ごろには、全国で、レベル1のアスベスト建材使用の建物280万棟、レベル3建材使用の木造戸建て住宅3300万棟が解体除去の時期を迎えます。しかし、市の「建物吹付アスベストの調査・除去工事支援事業」の年間の実績はたった1件・決算額24万8千円にとどまっています。また、日常使用時におけるアスベストの飛散状況の実態は、市の建物以外は把握できていません。改正された大気汚染防止法では、直接罰がついたものの飛散した場合「故意」であれば罰せられるが、過失であれば罰せられない。またレベル3は成形版なのでアスベストの飛散はないとされているが、厚労省が飛散を数値で確認している。など、多くの問題点があります。堺市は、より厳しい大阪府条例によって対応とのことですが、解体業者等の認可制度がありません。国に要望することと、堺市が独自に実態把握とより厳しい規制、そして啓発に取り組むことが必要です。

 次に、国民健康保険事業特別会計についてです。

 本市の国保料は、全国政令市の比較で3位~6位と高くなっています。

 財政は、歳入は減っているものの、それ以上に歳出が減っているので黒字です。国保料収納対策基金の積み立てに約13億4千万円出してもなお5億7千666万円の黒字とのこと。剰余金は来年度の予算に編入され、その剰余は、また、基金に積み立てられます。

 こうして、基金の年度末残高は約38億9千万円に積み上げらています。

 府内の国保広域化で年々保険料が引き上げられていますが、これだけ基金が積み上げられているなら、保険料は上げる必要はありません。基金の一部を取り崩せば保険料を引き下げることができます。

 しかしながら、安定的な国保財政には、国の公費負担が必要です。全国知事会が1兆円の国庫負担の引き上げを求めています。本市は、指定都市市長会等で国に公費拡充を要望しているというが、例年通りの要望の仕方では、国の姿勢を動かせません。市民のために、ねばり強く要望を届けてほしい。私たちもそのために協力を惜しみません。

 児童自立支援施設の整備計画の中止には反対です。

 政令市の設置義務があり、何年もの議論を重ねて全会一致で可決したもので、児童福祉関係の専門家の皆さんの要望は切実で、議会の決議に大きな期待をしていただけに、その失望感は殊更深いものです。少年事件専門の大阪弁護士会有志の陳情と弁護士が意見陳述をされました。大阪弁護士会が「再考を求める」声明を自治体に出したことも異例であり、本市としても、前代未聞です。その重大さを市は受け止めるべきであります。

 また、百舌鳥古墳群ガイダンス施設の建設も、市議会で詳細まで議論し、予算を組み、設計も出来上がっていたものです。ところが、無駄を削ると言ってこれも突然中止しました。世界遺産という人類の果てしない資産を学ぶことができるどこにもない貴重な施設ができるはずでありました。

 代わりにレストランを改装してビジターセンターにするとは、百舌鳥古墳群の文化価値を観光資源の目玉商品に貶めるものです。

 そして唯一の飲食施設が無くなり、訪問客に不便をかけることになりました。市長の一声で、ち密に計画してきたプランがことごとく覆され、中止は無計画な判断であったと言わなければなりません。

 児童自立支援施設も百舌鳥古墳群ガイダンス施設も市長のトップダウンで決められたもので民主的議論を否定する姿勢は容認できません。

 加えて、現在、大阪市を廃止し、4つに分割するいわゆる大阪「都構想」の可否が、大阪市民を対象に住民投票に問われようとしています。すでに、大阪「都構想」は、2015年に行われた住民投票で、否決されたものです。

 大阪「都構想」で「大阪の成長をスピードアップ」と謳っていますが、成長の中身をカジノ・IRやインバウンドの増加としています。これらはコロナ禍によってことごとく見直しが求められるビジョンです。

 私たちがポスト・コロナを展望した時、これらのビジョンからの大転換が求められます。今、必要なことはPCR検査の抜本的拡充など、感染拡大を収束させる手段を強化することです。そして公務公共職場を中心に、人も予算も投入すべきではないでしょうか。子や孫に安心して住める堺を届けたいとの願いを実現するために、いのちと暮らしを最優先した堺への転換です。

 また、大阪市が廃止され「特別区」になれば隣接する市は住民投票なしに議会の議決だけで「特別区」に移行されることが可能になります。こうして、誕生する「特別区」は、自治体としては半人前と言われています。堺市の有する政令市としての都道府県並みの権限・財源を弱体化させるものです。今、大阪府と大阪市との間で進行する「大阪市廃止」構想は、看過できるものではありません。

 永藤市長は「4年間、都構想は議論しない」と言ってきました。しかし、市長は、昨年、府と大阪市でつくる「副首都推進本部会議」及び「大阪広域ベイエリアまちづくり推進本部会議」に参画し、それぞれ副本部長に着任しています。これらの会議こそ「都」構想を進める中心母体に他なりません。こうした市長の姿勢は強く非難されるものです。

 以上の理由により、2019年度堺市決算認定に反対することを申し述べ、日本共産党の意見といたします。

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