2016年01月08日 堺総合法律事務所 弁護士 辰巳 創史
2013年5月24日、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(マイナンバー法)が成立しました。
マイナンバー法は、すべての国民、外国人住民、法人に対し、年金、医療、介護保険、福祉、労働保険、税務等の税と社会保障に関わる各行政分野に共通して利用される識別番号(共通番号)を付番し、情報の名寄せ・統合(データマッチング)をし、併せて本人確認を行うものです。データマッチングの対象となる情報は、市民生活の全般(税務分野においては私人間の取引も含まれる。)に及ぶ極めて広範囲にわたるものであり、政府は、個人に付された番号により、住所、氏名、年齢のみならず家族構成や病歴などのセンシティブ情報、収入や資産などの財産情報までをも、一望して管理することが容易になります。
マイナンバー法は、政府による個人情報等の一元管理化を強めるものであり、憲法13条の保障するプライバシー権を侵害し、監視国家を出現させるものです。マイナンバー法は特定秘密保護法とセットで、戦争する国づくりに向けた国家による情報管理の手段です。また、個人情報が漏洩し、不正アクセスやなりすまし等の違法行為が多発することは間違いありません。さらに、マイナンバー導入のためのインフラ整備には、初期費用だけで3000億円もの費用が必要とされており、税金の無駄遣いというほかありません。
2015年10月から、マイナンバーの通知カードの発送が始まっています。通知カードは一方的に自治体から送られてきますが、個人番号カードは申請をして取得することになっています。政府は、ICチップの入った個人番号カードを広く普及させて、将来的にマイナンバーの利用拡大をしようと目論んでいます。そこで、憲法違反のマイナンバー法に対抗するための当面の方策として、この個人番号カードを申請しない、取得しないことが重要です。個人番号カードを申請しなくても、何の不利益もありません。簡単にできることですから、みんなで実践しましょう。